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ガラスにQRコードを刻印できる?読み取りやすくするために試したこと

オリジナルグッズや名入れ加工のご案内の中で、これまで「QRコードの刻印にも対応できます」とお伝えしてきました。
実際にUVレーザーを使えば、ガラスやアクリルなどの透明素材にQRコードを直接刻印することはできます。
しかし、私自身、ガラスに刻印したQRコードについては、少し不安を感じていました。
紙に印刷したQRコードなら簡単に読み取れるのに、ガラスに刻印すると、スマートフォンをかざす角度や背景、光の当たり方によって、すぐに読み取れないことがあったからです。
「刻印できること」と「安定して読み取れること」は、同じではありません。
そこで、刻印条件やQRコードの作り方を変えながら、何度もテストを行ってきました。今回は、その中で分かってきたことをご紹介します。
ガラスに刻印したQRコードが読み取りにくい理由
一般的なQRコードは、白い背景に黒いセルが並び、はっきりとした明暗差があります。
一方、UVレーザーによるガラス刻印は、黒いインクを付ける加工ではありません。レーザーを当ててガラス表面を微細に変化させ、白っぽいすりガラス状のセルを作ります。
そのため、次のような問題が起こります。
背景が透けてしまう
透明なガラスでは、QRコードの後ろにあるものまで見えます。
白い壁、暗い机、手のひら、室内の照明など、何が背景になるかによってQRコードの見え方が変わります。
光が反射する
ガラス表面に照明や外光が映り込むと、刻印したセルの一部が見えにくくなります。
人の目にはQRコードが見えていても、スマートフォンのカメラでは、必要な明暗差を判別できないことがあります。
刻印状態にわずかな差が出る
UVレーザー刻印は、出力、速度、ハッチングの間隔、フォーカスなどによって仕上がりが変わります。
特にガラスはフォーカスの影響を受けやすく、表面に傾きや曲面があると、白濁の濃さに差が出ることがあります。
これらの問題をレーザーの設定だけで、すべて解決するのは簡単ではありません。
そこで今回注目したのが、QRコードに備わっている「誤り訂正機能」です。
QRコードの「誤り訂正レベル」とは
QRコードには、一部が汚れたり欠けたりしても、保存されている情報を復元する機能があります。
これが「誤り訂正機能」です。
誤り訂正レベルは、次の4段階に分かれています。
| 誤り訂正レベル | 復元できる目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| L | 約7% | データ量を抑えやすい |
| M | 約15% | 一般的によく使われる |
| Q | 約25% | 読み取りにくい環境にも対応しやすい |
| H | 約30% | 4段階の中で最も高い復元能力 |
今回のテストでは、最も誤り訂正能力が高い「レベルH」を使用しました。
ガラスに刻印したQRコードでは、反射や透過によって一部のセルがカメラから見えにくくなることがあります。レベルHにすることで、そのような部分が生じても情報を復元しやすくなると考えました。
ただし、「QRコードのどの部分が30%欠けても必ず読み取れる」という意味ではありません。位置検出用の大きな四角など、認識に重要な部分が見えなくなれば、レベルHでも読み取れない場合があります。
レベルHにすれば、必ず読み取れるわけではない
誤り訂正レベルHは、ガラス刻印の読み取りを助ける有効な方法です。
ただし、誤り訂正レベルを高くすると、同じ情報量でもQRコードを構成するセルが増え、模様が細かくなる場合があります。
小さなサイズに細かなQRコードを刻印すると、一つひとつのセルが小さくなり、かえって刻印や読み取りが難しくなる可能性があります。
そのため、QRコードを作る際には、次の点も重要です。
- 登録するURLや文字列をできるだけ短くする
- QRコードを必要以上に小さくしない
- 周囲に十分な余白を設ける
- 細い線やセルがつぶれない刻印条件を選ぶ
- 実際に使用する素材で読み取りテストを行う
- 複数のスマートフォンや照明条件で確認する
QRコードの周囲には、「クワイエットゾーン」と呼ばれる何も入れない余白も必要です。QRコードを大きく刻印しても、周囲に文字や模様が近すぎると、読み取りに影響することがあります。
PythonでレベルHのQRコードを一括作成
1個だけのQRコードであれば、条件を指定して個別に作成できます。
しかし、商品ごとに異なるURLや管理番号を入れる「可変加工」では、数十個、数百個のQRコードを作らなければなりません。
そこで今回は、Pythonを使って、誤り訂正レベルHのQRコードを一括生成する仕組みを作りました。
おおまかな処理の流れ
- IDや個別URLを入力したCSVデータを用意する
- バッチファイルをダブルクリックする
- PythonでレベルHを指定したQRコードを一括生成する
- QRコード画像の保存先を記載したデータ結合用CSVを作る
- InDesignに読み込み、一括配置する
- 面付けしたデータをLightBurnなどの加工用ソフトへ渡す
この方法なら、QRコードごとに手作業で画像を作る必要がありません。
誤り訂正レベルをHにそろえながら、異なるURLや番号を持つQRコードを連続して作成できます。
名入れ、シリアル番号、商品管理番号、個別ページへのリンクなどを一つずつ変える、可変印刷・可変刻印への応用も考えられます。
ガラス板へ実際に刻印してみました
今回は、三栄ぷりんとのWebサイトにつながるQRコードを、Pythonで誤り訂正レベルHに指定して作成しました。
そのデータを使い、UVレーザー加工機でガラス板へ刻印しました。
従来の条件で作成したQRコードと比べると、レベルHで作成したQRコードは、スマートフォンが反応するまでの時間が短くなり、読み取りやすさが改善しました。
もちろん、透明なガラスなので、どのような状態でも瞬時に読み取れるわけではありません。
- 強い照明が映り込んでいる
- QRコードの後ろに複雑な模様がある
- ガラスと背景の明暗差が少ない
- カメラを極端に斜めから向けている
このような条件では、スマートフォンの角度を少し変えたり、QRコードの後ろに手や白い紙などを置いたりすると、読み取りやすくなることがあります。
それでも今回の実験では、QRコードの作り方を見直すことで、読み取りやすさを大きく改善できることが確認できました。
加工条件とデータ条件の両方が重要
今回のテストで改めて分かったのは、ガラスへのQRコード刻印は、レーザーの設定だけで決まるものではないということです。
読み取りやすくするためには、主に次の3つを組み合わせて考える必要があります。
1.QRコードのデータ設計
- 誤り訂正レベルHを検討する
- URLや登録情報を短くする
- 十分な大きさと余白を確保する
2.UVレーザーの加工条件
- フォーカスを正確に合わせる
- 出力と加工速度を調整する
- ハッチング間隔を調整する
- セルのつぶれや欠けを確認する
3.実際の使用環境で確認する
- 明るい場所と暗い場所で試す
- 背景を変えて試す
- 複数のスマートフォンで確認する
- 実際に使うガラス製品で試作する
この3つがそろって、初めて読み取りやすいQRコード刻印に近づきます。
可変QRコードの刻印にも応用できます
今回構築した仕組みは、同じQRコードを複数刻印するだけでなく、一つひとつ内容が異なる可変QRコードにも応用できます。
例えば、次のような用途が考えられます。
- 商品ごとに異なる管理ページへのリンク
- 製造番号やシリアル番号との組み合わせ
- イベント参加者ごとに異なる案内ページ
- 記念品から個別の写真や動画へつながるリンク
- 店舗や展示物の説明ページ
- 機械や設備の取扱説明書へのリンク
- ロット管理やトレーサビリティー用途
同じデザインの中で、名前、番号、文字、QRコードだけを一つずつ変更する加工も可能です。
ただし、素材、大きさ、形状、QRコードに登録する情報量によって、適した加工条件は変わります。特に透明素材や曲面への加工では、事前のテストが重要です。
まとめ
これまで、ガラスへのQRコード刻印について「加工はできるものの、読み取りには少し不安がある」と感じていました。
しかし、実際にテストを繰り返し、誤り訂正レベルHを指定したQRコードを使用することで、従来より読み取りやすさを改善できました。
今回のポイントは、次のとおりです。
- ガラス刻印では、透過や反射によって明暗差が不足しやすい
- 誤り訂正レベルHは、読み取りの安定性を高める方法の一つ
- レベルHだけでなく、大きさ、情報量、余白も重要
- UVレーザーの出力、フォーカス、ハッチング調整も必要
- Pythonを使えば、可変QRコードを同じ条件で一括生成できる
- 最終的には実際の素材と使用環境でのテストが欠かせない
三栄ぷりんとでは、ガラス、アクリル、金属、樹脂などへのUVレーザー刻印をご相談いただけます。
同じQRコードを複数加工する案件だけでなく、商品ごとにリンク先や番号を変える可変QRコードについても、素材や数量、使用目的を確認しながら加工方法をご提案いたします。
「このガラス製品にQRコードを入れられるだろうか」「一つずつ異なるQRコードを刻印したい」といったご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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