記事公開日
ステンレスへのレーザー刻印が茶系に見えるのはなぜ?

ステンレス製のキーホルダー、タンブラー、プレート、工具などへレーザー刻印をすると、刻印部分が黒ではなく、茶色やこげ茶色に見えることがあります。
初めてご覧になる方からは、
「黒く刻印されると思っていた」
「茶色いインクを使っているのですか?」
「もっと黒くできますか?」
といったご質問をいただくことがあります。
三栄ぷりんとで使用しているUVレーザーによるステンレス刻印は、インクで色を付ける加工ではありません。
レーザーに反応してステンレス表面の状態が変化することで、茶系を中心とした色に見えます。
今回は、ステンレスへのUVレーザー刻印が茶系に見える理由と、刻印色に影響する条件についてご紹介します。
レーザー刻印はインクで色を付ける加工ではありません
UVレーザー刻印では、ステンレスの表面へレーザー光を照射します。
レーザーが当たった部分では、表面の状態や酸化膜などに変化が起こります。その結果、光の反射の仕方が変わり、何も加工していない部分とは違う色に見えるようになります。
つまり、刻印部分へ茶色や黒のインクを塗っているわけではありません。
表面そのものが変化しているため、刻印の色は次のような条件によって変わります。
- ステンレスの種類
- 表面の仕上げ
- レーザーの出力
- レーザーを動かす速度
- 照射回数
- 線の間隔
- レーザーのフォーカス
- 加工面の傾きや高さ
同じステンレス製品に見えても、条件が異なれば刻印の濃さや色味も変わります。
UVレーザーでは茶系に見えることが多い
三栄ぷりんとで使用しているUVレーザーでステンレスへ刻印すると、一般的には次のような色に見えます。
- 薄い茶色
- 茶色
- こげ茶色
- 茶色に近い薄い黒
- 光の角度によってグレーにも見える色
白い紙へ黒いインクを印刷したような、均一で真っ黒な仕上がりになるとは限りません。
刻印部分を見る角度や照明によっても、色の見え方が変わります。
正面からは濃い茶色に見えても、斜めから見ると薄く見えたり、周囲の風景が映り込んで違う色に見えたりすることがあります。
特に鏡面仕上げのステンレスでは、周囲の光や色が映り込みやすいため、写真と実物で刻印色の印象が変わることがあります。
ステンレス表面の変化が茶色に見える
ステンレス表面には、非常に薄い酸化皮膜があります。
UVレーザーを照射すると、表面や酸化皮膜の状態が変わり、光の反射や吸収の仕方が変化します。
その結果、人の目には茶色、こげ茶色、グレーなどに見えます。
この見え方は、ペンキやインクのような一定の色ではありません。
レーザーの条件がわずかに変わるだけでも、表面の反応が変わり、刻印色にも違いが出ます。
そのため、「茶色の色番号を指定する」「印刷物と同じ黒に合わせる」といった色指定はできません。
フォーカスが刻印色を左右します
ステンレス刻印で特に重要なのが、レーザーのフォーカスです。
レーザーには、光が最も細く集中する位置があります。
この位置が加工面に正しく合っていると、狙った範囲へエネルギーを集中させることができます。
フォーカスが少しずれると、レーザーが当たる範囲やエネルギーの集中具合が変わり、次のような違いが生じます。
- 刻印が薄くなる
- 茶色が濃くなる
- 線が太くなる
- 部分的に色むらが出る
- 同じ設定でも見え方が変わる
三栄ぷりんとでも、ステンレスへのUVレーザー刻印について、さまざまな設定を試してきました。
その中で、刻印色の再現性に大きく影響していたのが、フォーカスのわずかな違いでした。
レーザーの設定値が同じでも、商品を置く高さや加工面の傾きが違えば、刻印色が変わることがあります。
平らに見えても高さが違うことがあります
ステンレス製品の加工面は、一見平らに見えても、完全な水平ではないことがあります。
例えば、次のような商品では高さの違いが生じやすくなります。
- 薄いステンレスプレート
- わずかに反ったキーホルダー
- プレス加工された商品
- 曲面のあるタンブラー
- フタや底に段差がある商品
- 表面に凹凸のある工具
- 金具が付いた小物
加工面の左側と右側で高さが違うと、片側だけフォーカスがずれ、刻印の濃さに差が出る場合があります。
安定した加工を行うためには、商品を正しく固定し、加工面の高さをできるだけ一定にすることが重要です。
ステンレスの種類によっても変わります
ステンレスには、SUS304やSUS430など、さまざまな種類があります。
また、同じ種類のステンレスでも、メーカー、製造方法、含まれる成分、表面処理などが異なる場合があります。
そのため、同じレーザー設定で加工しても、すべてのステンレス製品が同じ色になるとは限りません。
商品に材質表示がない場合や、市販品を持ち込まれる場合は、正確なステンレスの種類が分からないこともあります。
その場合は、現物を使ったテスト加工で反応を確認する方法が確実です。
表面仕上げでも見え方が変わります
ステンレスには、さまざまな表面仕上げがあります。
鏡面仕上げ
表面が鏡のように反射する仕上げです。
刻印とのコントラストは出やすい一方、周囲の色が映り込むため、見る角度によって刻印色の印象が変わります。
ヘアライン仕上げ
一定方向に細い線が入った仕上げです。
落ち着いた見た目になりますが、表面の線と刻印が重なることで、細い文字や図柄が見えにくくなる場合があります。
マット・つや消し仕上げ
光の反射が抑えられた仕上げです。
刻印が比較的落ち着いて見えますが、表面と刻印の色が近い場合は、コントラストが弱くなることがあります。
塗装・コーティング品
表面に塗装やコーティングが施されている商品では、レーザーによって表面層が変化したり、下地が現れたりします。
無加工のステンレスとは異なる仕上がりになるため、事前確認が必要です。
黒く刻印することはできますか?
UVレーザーでも、設定や素材によって比較的濃い色に見えることがあります。
ただし、「必ず真っ黒にする」「指定した濃さの黒にする」といった保証は困難です。
黒色の印刷や塗装とは異なり、レーザー刻印は素材の反応を利用するためです。
黒に近い見た目を優先する場合でも、実際の素材を使い、複数の条件でテストする必要があります。
また、色を濃くしようとして出力や照射回数を増やすと、表面の質感が変わったり、線が太くなったりすることがあります。
色の濃さだけでなく、文字の読みやすさや仕上がり全体を見ながら条件を決めます。
青や緑に見えることもあります
ステンレスへレーザーを照射したとき、条件によっては茶系以外に、青っぽい色や緑っぽい色が見えることがあります。
薄い酸化皮膜の状態によって、光の干渉が起こり、見る角度や照明によって色が変わって見えるためです。
ただし、三栄ぷりんとのUVレーザーでは、このような色を安定して再現することは容易ではありません。
設定値を記録して同じ条件で加工しても、次のような違いによって色が変化します。
- フォーカスのわずかなずれ
- 商品の高さ
- 加工面の傾き
- ステンレスの材質
- 表面仕上げ
- 個体差
そのため、青、緑、赤などの色を指定して刻印するサービスとしては対応していません。
基本的には、茶系を中心とした素材任せの仕上がりとしてご案内しています。
ファイバーレーザーとの違い
金属へのレーザー刻印では、ファイバーレーザーがよく使用されます。
特にMOPA方式のファイバーレーザーは、パルス幅などを細かく調整することで、ステンレスへさまざまな色を表現できる場合があります。
一方、三栄ぷりんとで使用しているのはUVレーザーです。
UVレーザーは、金属だけでなく、ガラス、アクリル、木材、革、陶器、石など、幅広い素材へ加工できることが特徴です。
ただし、ステンレスへの色表現については、MOPAレーザーと同じような自由度や再現性があるわけではありません。
UVレーザーでは、茶系を中心とした自然な表面変化として考える必要があります。
茶系の刻印が向いている用途
ステンレスへの茶系刻印は、次のような用途に向いています。
- 名前入りキーホルダー
- 会社ロゴ入り金属タグ
- 周年記念品
- 退職・還暦などの記念品
- 管理番号・製造番号
- 工具への名入れ
- ステンレスプレート
- タンブラーへの文字入れ
- ペットの名前やイラスト
- QRコードや識別マーク
派手な色ではありませんが、ステンレスの金属感とよくなじみ、落ち着いた仕上がりになります。
カラーを入れたい場合はUV印刷
会社のロゴカラー、写真、カラフルなイラストなどを表現したい場合は、UVレーザー刻印ではなく、UVインクジェット印刷が向いています。
例えば、ステンレス製キーホルダーの場合、次のような組み合わせも可能です。
- 表面にUVインクジェットでカラー印刷
- 裏面にUVレーザーで名前や日付を刻印
カラー印刷の華やかさと、レーザー刻印の落ち着いた仕上がりを両方取り入れられます。
鏡面ステンレスへ白インクを敷かずにカラー印刷した場合、デザインの白い部分や色の薄い部分には、ステンレスの鏡面が見えます。
持ち込みステンレス製品もご相談ください
市販のステンレス製品や、お客様が用意された金属製品への刻印もご相談いただけます。
お問い合わせの際は、次の情報をお知らせください。
- 商品全体の写真
- 刻印面の写真
- 商品名・メーカー・購入先
- ステンレスの種類
- 表面仕上げ
- 商品の寸法
- 刻印したい位置と大きさ
- 必要数量
- 希望納期
- 予備品の有無
材質や表面処理が分からない場合は、実際の商品を使ったテスト加工が必要になることがあります。
同じ商品を複数個加工する場合でも、個体差によって刻印色がわずかに変わる可能性があります。
まとめ|茶系はUVレーザーによる自然な仕上がりです
ステンレスへのUVレーザー刻印が茶系に見えるのは、茶色のインクを使っているからではありません。
レーザーによってステンレス表面の状態が変化し、光の反射や吸収の仕方が変わることで、茶色やこげ茶色に見えます。
刻印色には、次のような条件が影響します。
- ステンレスの種類
- 鏡面やヘアラインなどの表面仕上げ
- レーザーの設定
- 加工面の高さや傾き
- フォーカスの位置
- 商品ごとの個体差
UVレーザーによるステンレス刻印は、色を自由に指定する加工ではありません。
茶系を中心とした素材由来の色を、ステンレスの金属感と組み合わせて楽しむ加工です。
三栄ぷりんとでは、ステンレス製品へのロゴ刻印、名入れ、管理番号、記念日、小ロットでの試作、持ち込み品への加工をご相談いただけます。
実際の仕上がりが気になる場合は、商品写真や現物を確認しながら、テスト加工についてもご案内します。
ステンレス・金属製品への名入れ ページへ
既製品・持ち込み品への名入れ加工 ページへ
オリジナルグッズ・記念品制作 ページへ



