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宛名印刷で「文字化けしてる!」とクレーム。しかし本当の原因は…?

お客様から「宛名印刷の住所や郵便番号が文字化けしている」というクレームを受けました。
必死に原因を調査しましたが、印刷データや機械には一切問題が見つかりません。
最終的に、お客様からいただいた元のExcelデータ自体に、間違いがあったことが判明した、という事例の紹介です。
1. 発生した問題
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約1,100件の挨拶状と封筒の宛名印刷の仕事を受け、無事に納品しました。
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数日後、お客様から「住所が間違っている(文字化けしている)」とクレームの電話がありました。
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確認すると、確かに一部の封筒で、住所の番地の最後の漢数字(例:「三」)や、郵便番号の最後の数字(例:「1」)が、リストとは違う文字になっていました。
2. 徹底的な原因調査(しかし、何も見つからない) 「これは大変なエラーだ」と考え、あらゆるデータをチェックしました。
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お客様から預かった元のExcelリスト → 問題なし
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印刷レイアウト用のInDesignデータ → 問題なし
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印刷機に送ったPDFデータ → 問題なし
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印刷機に残っていた印刷履歴データ → 問題なし
不具合のあったページを再印刷しても、問題は再現しません。 「PDFの処理中に、まれに起こる怖いバグかもしれない」と不安になりました。
3. 再印刷しても、同じクレームが発生 万全を期すため、もう一度最初からデータを作り直して印刷し、再納品しました。 しかし、またしても 「直っていない」と同じクレーム が入ってしまいました。
4. ついに判明した「本当の原因」 これ以上お客様に迷惑はかけられないと、納品したものをすべて返送してもらい、印刷物とExcelリストを1件1件、人の目で照合しました。
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最初は何も見つかりませんでした。
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しかし、チェックする人を変えて再度確認したところ、ついに原因がわかりました。
原因: お客様からいただいたExcelリストの中に、名前が重複しているデータがいくつかあったのです。
そして、その重複したデータは、郵便番号や住所の数字が、元データと比べて1つずつズレていたのです。
(例:元が「二」なのに、重複した方は「三」になっている)
これは「文字化け」や「印刷エラー」ではありませんでした。
おそらく、お客様がExcelリストを作成する際に、セルをコピー&ペースト(またはセルの端をドラッグ)したことで、Excelの「オートフィル機能」が働き、数字が自動的に1つ増えてしまったものと推測されます。
5. 結論 「文字化けだ」と思っていたエラーは、実は・・・「入稿データ(お客様のExcel)の不具合」・・・でした。 私たちには非がなかった(無実だった)のですが、原因がわかるまですごく怖い思いをした、というお話です。
(おまけ)
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この記事の筆者(印刷会社の方)は、原因がわからずパニックになっている最中、「PDFが原因なら、全部の文字をアウトライン化(図形化)すれば解決するかも」と考え、InDesignの文字を自動でアウトライン化するスクリプト(プログラム)を作りました。
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結局、原因はデータだったのでこのスクリプトは不要になりましたが、ブログでそのスクリプトを公開します。
ダウンロード ⇒ Indd TextBox OutLin
使い方(概要)
- 配布ZIPを解凍し
Indd TextBox OutLin.txt
を.vbs
にリネーム .vbs
をデスクトップ等に配置- 対象INDDを
.vbs
アイコンへドラッグ&ドロップ …New.indd
のような新規ファイルが生成- InDesignバージョンが異なる場合は、スクリプト内のアプリ指定行を変更(.cc.2019を削除)
※ご利用は自己責任でお願いします。既存環境に合わせた調整(バックアップ作成、検証出力)を推奨します。