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3Dプリンターで専用治具を作ると何が変わる?オリジナルグッズ加工を支える見えない工夫

オリジナルグッズへ会社ロゴや名前を印刷・刻印するとき、完成品の裏側では「品物をどのように固定するか」が重要になります。
特に、ペン、イヤホンケース、キーホルダー、小型ケースなどは、形状に丸みや突起があり、単純な枠だけでは正確に固定できないことがあります。
そこで活躍するのが、3Dプリンターで製作する専用治具です。
加工する品物の形状に合わせて、受け部分、位置決め用の壁、金具を逃がすくぼみ、軽く押さえるバネ部分などを設計できます。
ただし、3Dプリンターを使うこと自体が目的ではありません。
専用治具によって変わるのは、完成品の位置精度、複数個のそろい方、準備時間、追加注文への対応などです。
今回は、オリジナルグッズ加工に3Dプリンター製の専用治具を使うことで、何が変わるのかをご紹介します。
そもそも「治具」は何のために使う?
治具とは、加工する品物を決められた位置、向き、高さへ固定する補助具です。
UVインクジェット印刷やUVレーザー刻印では、パソコン上で正確なデータを作っても、品物を置く位置がずれれば、ロゴや文字もずれてしまいます。
治具には、次のような役割があります。
- 印刷・刻印中に品物を動かさない
- 加工位置をそろえる
- 商品の向きを統一する
- 表裏や上下の間違いを防ぐ
- 加工面を水平に保つ
- レーザーの焦点距離をそろえる
- 複数個を一定間隔で並べる
- 作業者による位置差を減らす
- 同じ加工を繰り返しやすくする
治具は完成品には残りません。しかし、完成品の品質を支える大切な道具です。
従来の治具でも対応できるものは多い
すべての加工に、3Dプリンター製の治具が必要なわけではありません。
平らなプレート、四角いアクリル板、形のそろったカードなどは、定規、位置決めシート、簡単なストッパーで固定できることがあります。
従来から、治具には次のような材料を使ってきました。
- 紙
- 厚紙
- スチレンボード
- 木材
- アクリル板
- 金属製の定規やストッパー
- 両面テープ
- クランプ
単純な形状で数量が少なければ、こうした方法の方が早く、費用も抑えられる場合があります。
3Dプリンター製治具の良さが発揮されるのは、形状が複雑な商品、転がる商品、突起がある商品、複数個を正確に並べたい加工などです。
3Dプリンターで専用治具を作ると変わること
1.商品の形に合わせて固定できる
3Dプリンターでは、平面的な枠だけでなく、商品の立体形状に合わせた受けを作れます。
例えば、小型ケースの角に丸みがある場合、その曲線に沿ったくぼみを設けられます。
裏側に金具やクリップがある商品では、その部分だけを逃がし、本体の加工面を水平に支えることもできます。
商品の形に近い治具を作ることで、置いたときのがたつきや傾きを抑えやすくなります。
2.同じ位置へ繰り返し置きやすくなる
複数個を加工するとき、毎回定規で測って位置を決めると、わずかな差が生じます。
専用治具に商品を収め、決められた角や壁へ当てるようにすれば、同じ基準位置へ繰り返し置きやすくなります。
お客様にとっては、次のような仕上がりにつながります。
- ロゴの位置がそろう
- 名前の高さがそろう
- 文字の傾きを抑えられる
- 複数個を並べたときに統一感が出る
- 加工位置のばらつきが減る
特に、社員記念品、卒業・卒団記念品、展示会用ノベルティなど、完成品を一度に並べる用途では、位置の統一が重要です。
3.複数個をまとめて並べられる
1個ずつ加工する治具だけでなく、複数個を一定間隔で並べる治具も作れます。
例えば、次のような並べ方が考えられます。
- ボールペンを複数本並べる
- キーホルダーを格子状に並べる
- 小型ケースを縦横に並べる
- 金属タグを等間隔に並べる
- アクセサリーパーツを多数配置する
一度に複数個をセットできれば、商品の交換回数を減らせます。
ただし、多く並べれば必ず効率がよくなるわけではありません。機械の加工範囲、商品の取り出しやすさ、名前の照合方法なども考えて配置数を決めます。
4.押さえる仕組みを加えられる
市販品には、寸法のわずかな個体差があります。
治具のくぼみを商品の寸法ぴったりに作ると、大きめの商品が入らなかったり、小さめの商品が動いたりすることがあります。
そこで、3Dプリンター製治具に薄いバネ状の部分を設け、商品を一方向へ軽く押す方法があります。
商品を基準面へ押し当てることで、個体差があっても位置をそろえやすくなります。
重要なのは、強く締め付けることではありません。
商品へ傷や変形を与えず、取り付けと取り外しがしやすい範囲で、適度に保持することが大切です。
5.加工面の高さをそろえられる
UVインクジェット印刷では、プリントヘッドと印刷面との距離が重要です。UVレーザー刻印でも、焦点位置が仕上がりへ影響します。
商品の裏側に突起や金具があると、そのまま置いたときに加工面が傾くことがあります。
専用治具で商品を支える位置を調整すれば、加工面を水平にし、高さをそろえやすくなります。
複数個の高さがそろうことで、印刷のぼやけやレーザー刻印の濃淡差を抑えやすくなります。
試作してから寸法を修正しやすい
3Dプリンター製治具の大きな利点は、一度作って終わりではなく、試作品を確認しながら修正できることです。
治具作りは、一般的に次のような流れで進みます。
- 商品の寸法を測る
- 固定方法を考える
- CADで治具を設計する
- 3Dプリンターで試作する
- 実際の商品をセットする
- がたつきや取り出しやすさを確認する
- 寸法や形状を修正する
- 改良版を造形する
- テスト加工を行う
- 本番用として使用する
最初の試作品で完成することもありますが、商品の個体差や実際の使い勝手は、現物を入れてみなければ分からないことがあります。
少しきつければ隙間を広げ、動く場合は押さえを追加し、取り出しにくければ指を掛ける部分を設けます。
このような修正をデータ上で行い、改良版を作れるのが3Dプリンターの良いところです。
寸法を変えられる設計が急な変更に役立つ
治具の設計では、商品の縦・横・高さ、壁の厚さ、隙間、バネの長さなどを、後から変更できるようにしておくことがあります。
三栄ぷりんとでは、FreeCADを使って治具の設計を行っています。
数値を変更しやすい設計にしておけば、実際の商品が想定より数ミリ大きかった場合でも、治具全体を最初から作り直さずに調整できることがあります。
例えば、次のような項目を変更できます。
- 商品の幅
- 商品の奥行き
- 商品の高さ
- 商品同士の間隔
- 外周の壁の厚さ
- 固定用バネの長さ
- バネの厚さ
- 押し付ける方向
- 1列に並べる数量
- 治具全体の大きさ
こうした設計は、急ぎの案件でも役立ちます。
実物が届いたら形状が違っていたこともある
以前にも加工した商品と同じような依頼を、急ぎでいただいたことがありました。
納期を確認し、以前の経験を生かせば対応できると考えていました。
ところが、実際に届いた商品を確認すると、以前のものとは形状が異なっていました。手元にある治具をそのまま使うことができません。
そこで、あらかじめ寸法を変更できるように作っていた治具データを利用し、商品の縦横寸法や押さえ部分を修正しました。
新しい寸法で治具を造形し、現物を入れて確認したことで、加工へ進むことができました。
3Dプリンターがあれば、治具が自動的に完成するわけではありません。
しかし、設計データを再利用し、必要な部分を変更できることで、予想外の形状変更にも対応しやすくなります。
これは加工会社側の作業効率だけでなく、お客様の納期と品質を守るためにも役立ちます。
1個から専用治具を作る必要はある?
1個だけ加工する場合でも、転がる、傾く、焦点を合わせにくいなどの問題があれば、治具が必要になることがあります。
一方、簡単なストッパーだけで位置を決められる商品なら、3Dプリンター製の専用治具を作らない方が早い場合もあります。
治具の必要性は、次の条件から判断します。
- 商品の形状
- 必要数量
- 加工位置の精度
- 加工面の傾き
- 商品単価
- 納期
- 再注文の可能性
- 位置の統一がどの程度重要か
専用治具を作ることが、常に最も安い方法とは限りません。
治具製作に必要な時間や費用と、加工時の安定性を比べて判断します。
数量が多いほど治具の効果が大きくなる
100個の商品を1個ずつ定規で位置合わせする場合、測定と確認を100回繰り返す必要があります。
専用治具で複数個を並べられれば、商品交換や位置確認の回数を減らせます。
数量加工では、治具によって次のような効果が期待できます。
- 準備時間を短縮しやすい
- 位置確認の手順を統一できる
- 商品の向き間違いを減らせる
- 同じ位置へ加工しやすい
- 作業途中の取り違えを防ぎやすい
- 加工済みと未加工を管理しやすい
- 検品の基準をそろえやすい
ただし、一人ずつ異なる名前を入れる場合は、速さだけを優先できません。
治具の配置順と名簿データを対応させ、商品と名前を正しく組み合わせる仕組みも必要です。
追加注文への対応がしやすくなる
一度作った治具と設計データを残しておけば、同じ商品の追加注文に対応しやすくなります。
前回使用した次の情報を再利用できるためです。
- 治具の寸法
- 商品の置き方
- 加工位置
- 加工面の高さ
- 商品の向き
- 配置間隔
- 印刷・刻印データとの位置関係
ただし、同じ商品名でも、販売元や製造ロットによって形状が変わることがあります。
追加注文時にも現物を確認し、以前の治具へ正しく入るかを確かめます。
治具が残っているからといって、無確認ですぐ本番加工できるわけではありません。
治具によって対応できる商品の幅が広がる
これまで固定しにくかった商品でも、形状に合わせた治具を作ることで加工できる可能性があります。
検討できる例
- 丸みのあるイヤホンケース
- 厚みの異なる小型ケース
- 金具付きキーホルダー
- 転がりやすいペン
- アクセサリーパーツ
- 小型の電子部品
- 不規則な形のノベルティ
- 裏面に突起のある商品
- 複数サイズが混在する商品
- 一方向へ押さえる必要がある商品
ただし、治具を作れば、どのような物にも加工できるわけではありません。
加工面が大きく曲がっている、印刷面より高い突起がある、レーザーの焦点範囲から外れる、素材自体が加工に適さないといった場合は、別の方法を検討します。
商品を傷つけない設計も重要
専用治具は、しっかり固定するだけでなく、商品を傷つけずに取り出せることも重要です。
きつすぎる治具では、商品の塗装や表面へ擦り傷を付ける可能性があります。
反対に、隙間が大きすぎれば、加工中に商品が動きます。
設計時には、次の点を確認します。
- 商品との隙間
- 接触する場所
- 角の形状
- 押さえる強さ
- 商品の出し入れ方向
- 指を掛ける部分
- 金具やボタンの逃げ
- 塗装面への負担
治具へ入ることだけでなく、繰り返し安全に使えることが必要です。
3Dプリンター製治具にも限界があります
3Dプリンター製の治具は便利ですが、万能ではありません。
寸法には誤差がある
設計した寸法と、実際に造形された寸法にはわずかな差が生じます。
3Dプリンターの設定、材料の収縮、造形方向などを考慮して調整します。
造形に時間がかかる
大きな治具や厚みのある治具は、完成までに数時間以上かかることがあります。
急ぎであっても、設計、造形、確認、修正の時間は必要です。
強度や耐熱性に限界がある
樹脂製治具は、強い力や高温へ長時間さらされる用途には向かない場合があります。
使用回数や加工環境によっては、金属や別素材の治具が適していることもあります。
商品の個体差を完全には吸収できない
寸法差が大きい市販品や天然素材では、一つの治具だけで全数を完全に同じ状態へ固定できないことがあります。
必要に応じて、バネ、可動式の押さえ、複数サイズの治具などを検討します。
治具製作費と納期について
専用治具を作る場合は、加工費とは別に、治具の設計・試作・製作費が必要になることがあります。
費用や日数は、次の条件によって変わります。
- 商品形状の複雑さ
- 治具の大きさ
- 一度に並べる数量
- 押さえ機構の有無
- 必要な位置精度
- 試作回数
- 造形時間
- 追加修正の有無
簡単な治具であれば短期間で用意できることもありますが、現物を確認しなければ設計できない場合もあります。
使用日が決まっている場合は、商品の到着予定を含め、早めにご相談ください。
商品を大量購入する前に相談してほしい理由
3Dプリンターで治具を作れるとしても、商品を大量に購入した後で、加工できない形状だと判明する可能性があります。
購入前に、次の情報をお送りください。
- 商品ページのURL
- 正面・側面・裏面の写真
- 幅・奥行き・高さ
- 材質
- 加工したい面
- 突起や金具の位置
- 必要数量
- 印刷または刻印の希望サイズ
- 希望納期
- 将来の追加注文予定
可能であれば、まず1個だけ購入し、治具の試作とテスト加工を行ってから本番分を手配すると安心です。
3Dプリンターが変えるのは、治具ではなく加工の安定性
3Dプリンターを導入したことで、複雑な形状の商品に合わせた治具を、自社で試作・修正しやすくなりました。
しかし、お客様にとって大切なのは、3Dプリンターという機械そのものではありません。
専用治具によって、次のような変化が生まれることです。
- 加工位置をそろえやすくなる
- 商品の傾きや転がりを防げる
- 複雑な形の商品を固定しやすくなる
- 複数個をまとめて並べられる
- 急な形状変更へ対応しやすくなる
- 追加注文の条件を再現しやすくなる
- 数量加工のばらつきを抑えやすくなる
有限会社三栄ぷりんとでは、UVインクジェット印刷やUVレーザー刻印だけでなく、必要に応じて専用治具の設計と製作も行っています。
「特殊な形の商品へロゴを入れたい」
「同じ位置へ大量に加工したい」
「以前断られた立体物へ印刷できるか相談したい」
「持ち込み品を購入する前に固定方法を確認したい」
「追加注文にも対応できる形にしたい」
という場合は、商品写真、寸法、材質、数量、希望する加工位置を添えてご相談ください。
加工方法だけでなく、商品をどのように固定すれば安定した仕上がりになるかまで含めて検討します。
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