1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

三栄Navi

記事公開日

届いた品物の形が違う。それでも急ぎの名入れに対応できた理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
イメージ画像

以前にも名入れ加工をご依頼いただいたお客様から、再び同じような内容のご相談がありました。

今回は、お急ぎのご依頼です。

まずカレンダーを確認し、データ作成、加工準備、実際の印刷、仕上がり確認までに必要な時間を考えました。

少し厳しい日程ではありましたが、作業の順番を組み替えれば、何とか対応できそうです。

そこで品物が届き次第、すぐに作業へ入れるよう準備を進めていました。

ところが、実際に届いた品物を確認すると、想定していたものとは形状が異なっていました。

同じような依頼でも、品物まで同じとは限りません

以前にも対応したお客様からのご依頼だったため、当初は前回と同じような方法で進められると考えていました。

しかし、蓋を開けてみると、今回の品物は前回とはサイズや形状が違います。

名入れするロゴや文字のデータを用意していても、品物を正確な位置へ固定できなければ加工できません。

特に複数個へ同じ位置で名入れする場合は、一つずつ目分量で置くわけにはいきません。

  • 左右の位置
  • 上下の位置
  • 品物の向き
  • ロゴの角度
  • 加工面の高さ

こうした条件をそろえるために必要になるのが、品物を固定する専用の「治具」です。

今回の品物には、用意していた治具が使えませんでした。

しかも、納期には余裕がありません。

急きょ、新しい形状に合わせた治具を作り直すことになりました。

急ぎの仕事ほど、位置決めの準備が重要です

急ぎの名入れ加工というと、印刷機を速く動かせば間に合うように思われるかもしれません。

しかし、実際には印刷そのものより、品物を正確に並べるための準備に時間がかかることがあります。

一つの品物だけなら、その都度位置を確認しながら加工する方法もあります。

ところが、同じロゴを複数個へ入れる場合は、毎回位置を測っていたのでは時間がかかり、わずかな位置ずれも起こりやすくなります。

専用治具があれば、品物を決められたマスへ順番にセットできます。

作業時間を短縮するだけでなく、複数個の仕上がりをそろえるためにも、治具は大切な役割を持っています。

以前作っていたFreeCADの仕組みが役に立ちました

当社では、加工用の治具を3Dプリンターで製作しています。

設計には無料で使用できる3D CADソフト「FreeCAD」を使っています。

以前、AIに相談しながら、FreeCAD上で治具を作成するためのPythonコードを用意していました。

作ったのは、品物を縦横に並べる、四角いマス目状の比較的単純な治具です。

ただし、単に四角い穴を並べただけではありません。

品物を決まった方向へ軽く押し付け、毎回同じ位置に収めるための板バネ状の部分も設けています。

さらに、後から次のような設定を変更できるようにしていました。

  • 品物を並べる縦方向の個数
  • 横方向の個数
  • 一つのマスの縦寸法
  • 一つのマスの横寸法
  • 治具の深さ
  • 外枠の大きさ
  • 板バネの長さ
  • 板バネの高さ
  • 板バネの厚さ
  • 品物を押さえる方向

この「後から数値を変えられる仕組み」が、今回の急な形状変更で大変役に立ちました。

一から描き直さず、数値を変えて新しい治具へ

通常であれば、品物の形が変わると、治具の設計を一からやり直さなければならないことがあります。

しかし今回は、あらかじめ各寸法を変更できるようにしていました。

届いた現物を測り、FreeCADの中で、

  • マスの縦横寸法を変更
  • 治具の高さを変更
  • 板バネの長さを変更
  • 必要な個数に合わせて配列を変更

といった調整を行いました。

基本構造はすでにできているため、最初から形を描き直す必要がありません。

品物に合わせて数値を入れ替えることで、新しい3Dデータを短時間で作成できました。

完成したデータは、そのまま3Dプリンターへ送ります。

造形後に実物を治具へ入れて、収まり方と押さえ具合を確認。問題なく固定できることを確かめてから、ロゴなどの名入れ印刷へ進みました。

結果として、予定していた納期にも間に合わせることができました。

AIが印刷したのではありません

今回、AIが役に立ったことは確かです。

ただし、AIが品物を測ったり、治具を完成させたり、印刷位置を確認したわけではありません。

AIが手伝ってくれたのは、FreeCADで使用するPythonコードの作成です。

そこから先は、

  • 現物の寸法を測る
  • どの方向へ押さえるか考える
  • 板バネの長さや厚さを調整する
  • 3Dプリンターで造形する
  • 実際に品物を入れて確認する
  • 印刷位置を合わせる

という工房での作業が必要です。

AIは、考えた治具を形にするまでの時間を短くしてくれます。

そして、そこで生まれた時間を、仕上がりの確認や納期への対応に使えるようになります。

お客様にとって大切なのは、どのソフトやコードを使ったかではなく、予定外のことが起きても加工方法を組み直せることだと思います。

専用治具は、仕上がりをそろえるための道具です

専用治具を作る一番の目的は、作業を楽にすることだけではありません。

同じ品物を複数加工するときに、ロゴや文字の位置をそろえることが重要です。

板バネを設けた今回の治具では、品物をマスへ入れると、決められた方向へ軽く押し付けられます。

品物に多少の寸法差があっても、基準となる辺へ寄せやすくなり、位置のばらつきを抑えられます。

これにより、

  • 複数個のロゴ位置をそろえやすい
  • 品物の向きを間違えにくい
  • セットにかかる時間を短縮できる
  • 作業中の位置ずれを抑えられる
  • 再注文でも同じ条件を再現しやすい

といった利点が生まれます。

治具は完成品としてお客様の目に触れるものではありません。しかし、名入れの品質や納期を支える大切な道具です。

「急ぎだからできない」で終わらせないために

もちろん、すべての急ぎのご依頼に対応できるとは限りません。

数量、品物の形状、加工方法、データの状態、材料の予備、ほかの仕事とのスケジュールによって判断は変わります。

また、届いた品物が想定と違えば、通常はそこで作業が止まってしまうこともあります。

今回は、以前から作っていた変更可能な治具データと3Dプリンターがあったことで、予定外の形状変更にも対応できました。

事前に作っていた仕組みは、その場ですぐに売上につながるものではありません。それでも、いざというときにお客様の困りごとを解決してくれます。

今回の仕事を通して、治具作りやAIの活用は単なる技術的な楽しみではなく、お客様への対応力を高めるための準備なのだと改めて感じました。

持ち込み品への名入れは、現物確認が大切です

ネットショップなどで購入した品物を、当社へ直送して名入れするご相談もあります。

ただし、商品写真だけでは正確な形状や寸法が分からないことがあります。同じ用途の商品でも、購入時期や型番によって形が変わっている場合もあります。

急ぎのご依頼では、できるだけ早い段階で次の情報をお知らせください。

  • 品物全体の写真
  • 名入れ面の写真
  • 縦・横・高さの寸法
  • 突起や段差の有無
  • 名入れする位置と大きさ
  • 加工数量
  • 希望納期
  • 予備品を用意できるか
  • 購入予定の商品ページ

事前の情報が多いほど、治具の必要性や加工方法を早く判断できます。

現物が届いて初めて分かることもありますが、その場合も、できる範囲で加工方法を検討します。

まとめ

今回の仕事では、急ぎのご依頼を受け、納期に間に合うよう予定を組んでいました。

ところが、届いた品物は想定していたものと形状が異なり、準備していた治具が使えませんでした。

そこで、以前AIと一緒に作成していたFreeCAD用のPythonコードを利用。マスの寸法、治具の高さ、板バネの長さなどを変更し、新しい治具の3Dデータを短時間で完成させました。

3Dプリンターで治具を造形し、品物の固定状態を確認してから、ロゴなどの名入れ印刷へ進み、予定していた納期にも間に合わせることができました。

AI、FreeCAD、Python、3Dプリンター。

一見すると技術的な話ですが、その目的は、お客様からお預かりした品物を正確に並べ、仕上がりをそろえ、できるだけご希望の納期へ近づけることです。

表からは見えない治具作りも、当社のオリジナルグッズ加工を支える大切な仕事になっています。


オリジナルグッズ・記念品制作 ページへ
UVインクジェットによるダイレクトプリント ページへ
既製品・持ち込み品への名入れ加工 ページへ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Contact

お問い合わせ

三栄ぷりんとは、印刷に関する多彩なサービスを提供しています。
お客様のご要望にできるだけお応えします。お気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

03-3785-4402

9:00~18:00 ※土日・祝日除く