TOP > blog > ファイバーレーザーとMOPAレーザーの違いとは?
レーザ加工機
2025/03/27

ファイバーレーザーとMOPAレーザーの違いとは?

管理者用
blog

ファイバーレーザーには、一般的な「パルスファイバーレーザー」と、より高度な制御が可能な「MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)レーザー」の2種類があります。
MOPAレーザーは、通常のパルスファイバーレーザーと比べて、より柔軟な設定が可能で、マーキングの品質や応用範囲が広がるのが特徴です。

1. ファイバーレーザーの基本的な特徴

ファイバーレーザーは、金属や一部のプラスチックに対して高精度な刻印やマーキングが可能なレーザー技術で、主に次のような特徴があります。

 高エネルギー密度 → 金属にくっきりとマーキングができる
 高速加工が可能 → 量産向けのマーキングに適している
 消耗部品が少ない → CO₂レーザーに比べて維持コストが低い

◆ 一般的なパルスファイバーレーザーの特徴

  • 固定パルス幅(通常80〜120ns)
  • 特定の素材(主に金属)に強い
  • 黒・白マーキングが得意
  • プラスチックのマーキング時に焼き焦げが発生しやすい

通常のファイバーレーザーは、主に金属への深い彫刻や黒マーキングに適していますが、色を変える加工やデリケートな素材の加工には向いていません


2. MOPAレーザーの特徴

MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)レーザーは、パルス幅と周波数を自由に調整できるため、より高度なマーキングが可能なタイプのファイバーレーザーです。

◆ MOPAレーザーの主な特徴

 パルス幅を調整可能(2〜500nsなど広範囲に設定可能)
 プラスチックやアルマイト加工された金属に色をつけたマーキングができる
 熱影響を抑えたシャープなマーキングが可能
 腐食しにくい白マーキングが可能


3. MOPAレーザーの強みと活用例

 ① アルマイト(金属)へのカラーマーキング

MOPAレーザーを使うと、アルマイト処理された金属(特にアルミニウム)に色のついたマーキングが可能です。
通常のファイバーレーザーでは黒や白のマーキングが主ですが、MOPAレーザーならグレー・ブルー・ゴールドなどの発色を実現できます。

◆ 活用例

  • アルミ製のロゴプレートにカラーマーキング
  • カスタムナイフや高級ペンの名入れ
  • スマートフォン・ノートPCのアルミ製ボディのデザイン刻印

 ② ステンレスへのカラー刻印

MOPAレーザーを使うと、ステンレスにブラック以外のカラー刻印(青・赤・紫・黄など)が可能です。
パルス幅と周波数を適切に調整すると、表面酸化の制御によってさまざまな色を発色できます。

◆ 活用例

  • 高級時計やジュエリーのデザイン加工
  • 医療機器や工業部品の識別マーキング
  • ブランドロゴやQRコードのカラー刻印

 ③ プラスチックへのシャープなマーキング

通常のファイバーレーザーでは、プラスチックへの刻印時に焼き焦げが発生しやすいですが、MOPAレーザーなら低いパルス幅で加工することで、くっきりとしたシャープなマーキングが可能になります。

◆ 活用例

  • 家電製品や電子機器のロゴ刻印
  • キーボードのキーキャップマーキング(消えにくい文字印刷)
  • 自動車部品のプラスチック識別刻印

 ④ 腐食を防ぐ白マーキング

MOPAレーザーを使用すると、金属に対して腐食しにくい白マーキングが可能になります。
通常のファイバーレーザーでは、黒マーキングの際に表面が焼き焦げるため、酸化による劣化が発生しやすくなりますが、MOPAレーザーなら低エネルギーで白く発色させることができます。

◆ 活用例

  • 医療機器の識別番号マーキング
  • 精密部品のトレーサビリティ管理
  • 航空機部品の耐久性マーキング

4. MOPAレーザーのデメリット

MOPAレーザーは非常に優れた加工能力を持っていますが、以下の点に注意が必要です。

・ 価格が高い → 一般的なファイバーレーザーよりも高価(同じ出力で約1.5〜2倍の価格)
・ 設定が複雑 → パルス幅・周波数などの設定を最適化しないと、希望のマーキングができない
・ 高出力機種が少ない → 深彫りや厚い金属の切断には向いていない

● 導入を検討する際は、「どのような素材にマーキングをするのか?」を考え、通常のファイバーレーザーとMOPAレーザーのどちらが適しているかを判断することが重要です。


5. どんな場合にMOPAレーザーを選ぶべきか?

MOPAレーザーは、以下のような用途で特に優れた性能を発揮します。

✓ アルマイトやステンレスへのカラーマーキングが必要な場合
 プラスチックや繊細な素材にシャープなマーキングを行いたい場合
 医療機器・精密部品など、腐食を防ぐ白マーキングが必要な場合

🔹 MOPAレーザーを導入するのがおすすめの業界

  • 精密機器・電子機器メーカー
  • 医療機器・自動車部品メーカー
  • ハイエンドなオーダーメイドギフト・ジュエリー業界
  • 航空・宇宙産業のパーツマーキング

●一方で、単純な黒マーキングや深彫りがメインなら、通常のファイバーレーザーで十分対応可能です。


6. まとめ

 

項目通常のファイバーレーザーMOPAレーザー
パルス幅 固定(80〜120ns) 可変(2〜500ns)
金属への黒マーキング ◎ 得意 ◎ 得意
アルミ・ステンレスのカラー刻印 ✖ できない ◎ 可能
プラスチックの刻印 △ 焼けやすい ◎ 焼けにくく高品質
腐食しにくい白マーキング ✖ できない ◎ 可能
価格 比較的安い 高価(1.5〜2倍)

 

MOPAレーザーは、通常のファイバーレーザーよりも加工の幅が広く、高品質なマーキングが可能です。
特に「カラー刻印」「プラスチック加工」「白マーキング」が必要な場合には、MOPAレーザーの導入を検討する価値があります!

関連記事