ファイバー vs. UVレーザ:どちらを選ぶべき?
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前回、レーザー加工機を選ぶ際に、CO2レーザと、ファイバーレーザの違いについて述べたが、今回は「ファイバーレーザーとUVレーザーの違いは?」を聞いた。
「どちらが自分の用途に適しているのか?」参考にしてほしい。
両者とも金属や一部のプラスチック素材への刻印・マーキングに使われるが、それぞれ異なる特性を持っています。本記事では、ファイバーレーザーとUVレーザーの違い、用途、選び方のポイントを詳しく解説します。
1. ファイバーレーザーとUVレーザーの基本的な違い
追記 動画にありましたので参考にリンク ⇒ UV レーザーとファイバーレーザーの比較
特性 | ファイバーレーザー | UVレーザー |
---|---|---|
波長 | 約1.06µm | 約355nm(0.355µm) |
エネルギー | 高エネルギー(熱加工) | 低エネルギー(コールドマーキング) |
対応素材 | 金属全般、プラスチック | プラスチック、ガラス、紙、セラミック、金属(微細加工) |
加工用途 | 刻印・マーキング(主に金属) | 微細マーキング・ナノレベル加工 |
加工の特徴 | 熱による酸化や焼き付け | 非熱加工で変色や焦げなし |
精密度 | 高精度だが、熱の影響で周囲が変色することも | 超高精度(極細線刻印・繊細なマーキング) |
ランニングコスト | 低め(メンテナンス少なめ) | 高め(消耗品あり) |
価格帯 | 中~高価格帯(100万円~1000万円) | 高価格帯(200万円~2000万円) |
2. ファイバーレーザーの特徴とメリット・デメリット
✓ ファイバーレーザーとは?
ファイバーレーザーは、光ファイバーを利用してレーザー光を増幅し、金属や一部のプラスチックにマーキングするレーザー加工機です。波長が約1.06µmと短く、金属への吸収率が高いため、金属表面の刻印・マーキングに適しています。
✓ ファイバーレーザーのメリット
✔ 金属へのマーキング・刻印が得意(ステンレス、アルミ、真鍮、チタンなど)
✔ 刻印の耐久性が高い(擦っても消えない)
✔ ランニングコストが低い(消耗品が少なく、メンテナンスが少ない)
✔ 高速加工が可能(短時間で深く刻印できる)
× ファイバーレーザーのデメリット
✖ 熱による影響が出やすい(加工後に酸化や焼き付きが起こることがある)
✖ プラスチックやガラスには向かない(一部の特殊なプラスチックには対応)
✖ 極めて細かい加工には限界がある(精密さはUVレーザーに劣る)
ファイバーレーザーが向いている用途
- 金属製品のマーキング(ロゴ・シリアルナンバー・QRコード刻印)
- ステンレスやアルミのネームプレート作成
- 工業製品や部品の識別番号マーキング
- 工具や刃物へのロゴ・型番刻印
3. UVレーザーの特徴とメリット・デメリット
✓ UVレーザーとは?
UVレーザー(紫外線レーザー)は、短波長(約355nm)を利用する**「コールドマーキング」と呼ばれる加工技術で、熱の影響を最小限に抑えた精密な刻印・マーキングが可能**です。熱を加えずに加工できるため、プラスチックやガラスなどの繊細な素材に適しています。
✓ UVレーザーのメリット
✔ 非熱加工のため、焦げや変色がほぼない
✔ プラスチックやガラスにも綺麗にマーキング可能
✔ 極細レーザーで超高精細なマーキングができる(ナノレベルの加工)
✔ 電子部品や医療機器のマーキングに最適(細かい刻印が可能)
× UVレーザーのデメリット
✖ 金属への刻印は限定的(主に微細加工向けで、深彫りには向かない)
✖ 高価で初期投資が大きい(ファイバーレーザーよりも高額)
✖ ランニングコストがかかる(レーザー光源の消耗が早い)
UVレーザーが向いている用途
- プラスチック製品のロゴやシリアルナンバー刻印
- ガラスやセラミックへの高精細マーキング(ワイングラスなどの名入れ)
- 電子部品(ICチップ、基板)のマーキング
- 医療機器のナノレベル刻印(精密機器や薬品パッケージなど)
4. ファイバーレーザーとUVレーザーの選び方
選び方のポイント | ファイバーレーザーが向いている人 | UVレーザーが向いている人 |
---|---|---|
加工する素材 | 金属(ステンレス、アルミ、真鍮) | プラスチック、ガラス、セラミック |
主な用途 | 深彫り刻印・耐久性のあるマーキング | 高精細なマーキング・ナノレベル加工 |
熱影響 | 熱加工(焼き付きや酸化あり) | コールドマーキング(変色なし) |
導入コスト | 比較的安価(100万円~) | 高価(200万円~) |
ランニングコスト | 低め(消耗品が少ない) | 高め(レーザー光源の交換が必要) |
✓ ファイバーレーザーがおすすめな人
- 金属(ステンレス・アルミなど)への耐久性の高い刻印をしたい
- 製造業向けにシリアルナンバーやQRコードを刻印したい
- 比較的安価でランニングコストの低いレーザーを導入したい
✓ UVレーザーがおすすめな人
- プラスチックやガラスに焦げなしでマーキングしたい
- 極小・超高精細な刻印が必要な製品(電子部品や医療機器など)を扱う
- 熱の影響を抑えた加工をしたい(デリケートな素材に対応したい)
5. まとめ
**ファイバーレーザーは「金属の耐久性が高い刻印向け」、UVレーザーは「繊細な素材の高精細マーキング向け」**という違いがあります。
- 金属の深彫り刻印・焼き付けマーキングならファイバーレーザー
- プラスチック・ガラスの精密マーキングならUVレーザー
どちらのレーザーを選ぶかは、**「加工する素材」と「求める刻印の精度」**によって決まります。あなたの用途に合ったレーザーを選び、ビジネスに活用しましょう!